本作品は、老舗料亭「無門庵」の跡地に、”和食を超えた和食”を提供するオーベルジュ「ときと」が誕生するまでの道のりを描いたフードドキュメンタリーです。和食は、ユネスコの無形文化遺産に登録されてから昨年末で10周年を迎え、さらにインバウンド活況の影響もあり、世界的な人気を集めています。一方で、地球温暖化による気候変動や漁業資源の枯渇、農業従事者の高齢化と後継者不足は、和食の持続可能性を脅かしています。この映画では、こうした現代の食を取り巻く問題を背景に、総料理長の石井義典氏をはじめとする「ときと」の料理人たちが日本中を巡りながら伝統を超えた和食を追求する挑戦が、着工から完成までの540日にわたって記録されています。国内外の生産者や漁師、農家との協力、さらに海外から訪れたVIPゲストとの交流を通して、日本の食文化が抱える社会的課題や、その未来への挑戦が深く考察されています。

　「北米の中でも重要な映画祭とされるパームスプリングス国際映画祭で北米プレミアできること、とても嬉しく思っています。私自身、アメリカの西海岸で編集をはじめとする映像制作を学んだという背景もあり、『ときと』を携えて故郷に帰るような気持ちでいます。アメリカという国の映画文化とフィルムメーカーたち、成熟したオーディエンスという土壌での上映は非常に緊張もしますし、そして同時にこの映画がどのように受け止められるのか、楽しみでなりません。」

　「10月のワルシャワ国際映画祭では、非常に多くの観客に私たちの映画を受け入れていただき、上映券が完売するなど予想以上の反響を得ることができました。今回はヨーロッパからアメリカへ舞台は変わりますが、パームスプリングス国際映画祭で、素晴らしいときとのストーリーが大陸をまたぎ、更なる感動を届けられることを、とても嬉しく思っています。」